色覚異常(色弱)とは?色弱の人にも配慮したWebデザインの重要性

色弱は、日本人男性の約20人に1人、女性は500人に1人が該当するといわれるほど、身近な色覚異常の一種です。

そんなに高い割合でいるんですね!

そうなんです。Webサイトを制作する際は色選びが重要になるため、配慮したい項目の1つとして、色弱についても知っておきましょう。
見えやすいように工夫したWebサイトでも、色の区別が難しい人にとっては、見えにくいデザインになっているかもしれません。
この記事では、Webサイトの制作・運用に関わる人が知っておきたい色弱の概要と、配慮したデザインのポイントなどを解説します。
この記事で学べること
- 色弱の概要
- 色弱の人に配慮したWebデザインのポイント
- 色弱の人の見え方が体験できるツールや事例
- 目次
色弱は日本人男性の20人に1人が該当
人が何かを見るためには「視力」「視野」「色覚」の3つの機能が必要です。そのうち「色覚」に異常がある場合、「色覚障がい」に該当します。
色覚障がいはさまざまな呼び名があり、「色覚異常」や「色弱」も同じ意味があります。
この呼称についてNPO法人カラーユニバーサル機構(CUDO)では、以下のように定めています。
Q-001: 「色弱者」とは、どのような人ですか?
A-001:色づかい(配色)の対応がなされてない社会において情報が伝達されにくい人を総称して、カラーユニバーサルデザイン機構(略称:CUDO)では「色弱者(しき・じゃくしゃ)」としています。引用:NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構 CUDO

この記事では、上記の考え方に倣って「色弱」と記載します。
人間には、色を感じる細胞が3種類(赤・緑・青)存在しています。この3色のうちのどれかが、多くの人と違うように見えるのが色弱の人の特徴です。
公益財団法人日本眼科学会のWebサイトによると、日本人男性の約20人に1人、女性は500人に1人※が色弱に該当すると考えられます。
色弱には、大きくわけて以下の2つがあります。
- 先天色覚異常
- 後天色覚異常
それぞれについて解説していきます。
先天色覚異常
色を感じる遺伝子(X染色体)に先天的に異常があり、色の見え方に問題があるのが先天赤緑色覚異常です。先天性なので、検査をしたり第三者と話が噛み合わなかったり、きっかけがないと気付けない方も多くいます。
区別がつきにくい色の組み合わせは様々ですが、その中でも一番多いのは先天赤緑色覚異常と呼ばれる赤と緑の区別がしにくい状態です。
また、男性の方に多いのも特徴です。理由は、この先天色覚異常はX染色体の異常が原因だからです。
人間の性染色体は、男性がXY、女性がXXの組み合わせになっています。X染色体が2本ある女性の方が、1本は異常があったとしてももう1本でフォローできるため、男性に発生する割合が高くなってしまうのです。
また、青と黄色の区別がつきにくいケースもあり、その場合は先天青黄色覚異常と呼ばれます。原因は先天赤緑色覚異常と同じ遺伝子の異常ですが、発現するのは稀です。
後天色覚異常
後天色覚異常の要因はさまざまですが、具体的には以下のようなものがあります
- 加齢などによる身体の変化
- 病気や怪我による脳の障害
原因によって色の見え方が異なり、治るかどうかも人それぞれです。
このように、色弱といっても見え方や原因には個人差があります。

日本人では比較的多い割合で発生するため、Webデザインを考える際も色弱の人に考慮したものを作るのが大切です!
色弱の人に配慮したWebデザインのメリット
近年では、色弱の人に配慮したWebデザインの重要性が注目されています。
デザインの意図がしっかり伝わるように色の使い方を配慮したデザインのことを、カラーユニバーサルデザイン(CUD)と呼びます。
カラーユニバーサルデザインを取り入れるメリットは以下の3つです。
- より多くのユーザーに訴求できる
- 誤解や混乱を防げる
- 企業やブランドイメージの向上
それぞれのメリットを詳しく解説します。
merit 1
より多くのユーザーに訴求できる
Webマーケティングにとって、色は重要な役割を持っています。期間限定のキャンペーンやLPなどのデザインでは、ファーストビューやCTAボタンなどで色やデザインの工夫をして、お得感を訴求することがあります。
しかし、色弱の人がそれを見ても、色の濃淡がわかりにくかったり、一番重要なポイントが伝わらなかったりすることも。
色弱は、日本人男性だと20人に1人はいるといわれているため、カラーユニバーサルデザインを取り入れることで、より多くのユーザーに訴求できるのです。
merit 2
誤解や混乱を防げる
サービスを提供するうえで、最低限伝えなければいけないポイントや確認事項も、色弱の人にとっては区別がつかないケースがあります。
重要な部分の誤解や混乱を防げる点は、カラーユニバーサルデザインの大きなメリットです。
merit 3
企業やブランドイメージの向上
カラーユニバーサルデザインは、近年多くの企業が取り組んでいるSDGsへの貢献にもつながります。

配色の話とSDGsが関係しているんですか?

実は関係しているんです!SDGsは、地球上の「誰一人取り残さない」ことを目標としているため、その部分でカラーユニバーサルデザインと関わってきます。
「多くの人がわかりやすい色」を考えるカラーユニバーサルデザインは、SDGsの最終目標に貢献するといわれています。
企業にとっては、SDGsに貢献できる、色弱の人が安心してサービスを利用できることはもちろん、それを発信することで企業やブランドイメージの向上につなげられるのです。
色弱の人に配慮したWebデザイン3つのポイント
色弱の人に配慮したWebデザインを制作する際は、以下3つのポイントを意識しましょう。
- 色の組み合わせに注意する
- 色の濃淡をわかりやすくする
- ボタンやリンクはイラストやアイコンを使用する
それぞれを解説していきます。
point 1色の組み合わせに注意する
1つ目は、色の組み合わせに注意することです。
「赤と緑」「青と黄色」など、色弱の人にとって区別がつきにくい組み合わせは避けるようにしましょう。

たとえば赤と緑の区別がつかない場合、赤の背景に緑の文字を入れてしまうと、何を書いているのかわかりにくくなってしまいます。

たしかに!クリスマスなど、赤と緑を多く使うデザインは特に注意したいですね…!
他の色を追加したり、色の割合を変えたりすることで見やすくなります。
そのほか、配色を決める際は暖色と寒色から交互に選んだり、似た色の組み合わせを避けたりといったこともおすすめです。
point 2
色の濃淡をわかりやすくする
2点目は色の濃淡をわかりやすくすることです。
「濃い色」と「薄い色」の組み合わせは、色弱の人にとっても理解しやすいデザインです。パステルカラー同士など、薄い色だけを使うと判断しにくくなってしまいます。
画像や写真、文字を強調したい場合は、色の濃淡を明確にするようにしましょう。

デザインを白黒コピーしても読むことができれば、色の濃淡がしっかりついていると判断できます!
point 3
ボタンやリンクはイラストやアイコンを使用する
ボタンやリンクは色だけで訴求するのではなく、イラストやアイコンを一緒に使用するのがおすすめです。
また、選択肢がいくつかある場合、色弱の人には区別がつかない可能性があります。アイコンや文字を追加する、模様を入れるなど、色以外での区別ができるように工夫しましょう。

グラフやCTAボタンなどで特に意識したいポイントですね!
配色のチェックに便利な無料ツール2選
「カラーユニバーサルデザインを意識して作ったけどこれであっているのか心配」という方におすすめなのが、色弱の人の見え方を実際に体験できるツールです。
- Color Blind Web Page Filter
- 色のシュミレータ
どちらも無料で簡単に使用できるため、実際にデザインを作った際のチェックに活用してみてください。
Tool 1
Color Blind Web Page Filter

画像引用:Color Blind Web Page Filter
Color Blind Web Page Filterは、Webサイトが色弱の人にどのように見えているかを検証できるツールです。
調べたいURLを入力して、色覚異常パターンを選択するだけでチェックできます。
登録も不要でWeb上で簡単に確認できるため、Webサイトのチェックを行いたい方におすすめです。
Tool 2
色のシュミレータ

画像引用:色のシュミレータ
色のシュミレータは、医学博士・メディアデザイン学博士の浅田一憲氏が開発したスマートフォンで利用できる無料アプリです。
対象のデザインを写真で撮影したり、保存した画像を取り込んだりすると、実際に色弱の人にどう見えているかが確認できます。

これなら簡単にチェックできますね!

ただし、どちらのツールもあくまで体験できるものなので、必ずしも全ての色弱の人が同じように見えているわけではないことは覚えておきましょう!
色のシミュレータを実際に使ってみよう!
こちらでは、実際に色のシュミレータアプリを使用して、以下のWebサイトを比較してみた事例を紹介します。
- スターバックスコーヒージャパン
- JOURNAL STANDARD
- よなよなエール

色のシミュレータは全部で4つのブロックで見え方を確認できます。
左上にある元のデザインの色と見比べてどのように違っているのかを見てみましょう!
CASE 1
スターバックスコーヒージャパン

公式サイト:https://www.starbucks.co.jp/
1つ目は、スターバックスコーヒージャパンの公式サイトです。
クリスマス時期の商品のため、赤と緑が多く使われています。そのため、色弱の種類によっては色の区別がつきにくい状態です。
しかし、背景と文字のコントラストがはっきりしているため、テキストやイラストは見やすいのがわかります。
CASE 2
JOURNAL STANDARD

公式サイト:https://journal-standard.jp/
次にJOURNAL STANDARDの公式サイトです。やはり赤などの色が入っている写真は区別がつきにくいですが、白い文字が見やすいのが印象的です。

白と他の色を組み合わせることで見やすくなりますね!
CASE 3よなよなエール

公式サイト:https://yonayonaale.com/
最後は、よなよなエールの公式サイトです。こちらもメインの文字は白を使用しています。
さらに白と黒のコントラストが見やすいため、多くの人が見ている左上の見え方と比べても伝わる内容が大きく異なるということはありません。
このように、アプリを活用すれば色弱の人がどのように見えているのかを体験できます。 3つの事例を見ると、白い文字は見やすいケースが多いです。背景とのコントラストや色の組み合わせに注目してみましょう。

Webデザインにカラーユニバーサルデザインを取り入れたい方は、ぜひ活用してみてください!
まとめ
ここまで色弱の概要や、カラーユニバーサルデザインを取り入れる際のポイントなどを解説してきました。
色弱は日本人男性の20人に1人が該当するといわれているほど、比較的身近なものです。色弱にも様々な種類がありますが、傾向を知ることで多くの人に伝わるWebデザインを制作できます。
Webデザインの中でも、色はユーザーの反応を左右する重要な要素の1つです。カラーユニバーサルデザインを取り入れて、より多くの人に伝わるWebデザインを作りましょう。













