LinkedInがAI Overviewsでトラフィック最大60%減を報告 順位は維持でもクリック率低下

LinkedInが2026年2月3日、Google AI Overviewsの影響で非ブランドトラフィックが最大60%減少したことを公式ブログで報告しました。検索順位は維持されたままクリック率が低下したという事例は、AI検索時代のSEO施策を考える上で重要な示唆を含んでいます。
参考リンク
- LinkedIn: AI-powered search cut traffic by up to 60% – Search Engine Land
- How LinkedIn Marketing Is Adapting to AI-Led Discovery – LinkedIn公式ブログ
発表内容の概要
LinkedInのB2Bオーガニックグロースチームは、2024年初頭からGoogle Search Generative Experience(SGE)の調査を開始していました。2025年初頭にSGEがAI Overviewsへと進化した後、影響が顕著になったとしています。
具体的な数値は以下の通りです。
- 非ブランド・認知獲得目的のトラフィックが、特定のB2Bトピックで最大60%減少
- 検索順位は安定したまま
- クリック率が低下(具体的な数値は非公開)
LinkedInは「検索、クリック、Webサイト」という従来のモデルから、「見られる、言及される、検討される、選ばれる」という新しいフレームワークへの移行を宣言しています。
LinkedInが実施した対策
LinkedInは、SEO、PR、編集、プロダクトマーケティング、プロダクト、有料広告、ソーシャル、ブランド部門を横断した「AI検索タスクフォース」を設置しました。
主な取り組みとして以下を実施しています。
- AI応答に表示される誤情報の修正
- 生成AI向けに最適化された自社コンテンツの公開
- LinkedIn(ソーシャル)コンテンツがAI検索での強みになるかをテスト
LinkedInによれば、初期テストでは視認性と引用に「意味のある向上」が見られたとしています。
外部データによる裏付け
Semrushが2025年11月10日に公開したデータによると、LinkedInはAI検索において構造的な優位性を持っている可能性があります。
- Google AI ModeはLinkedInを約15%の応答で引用
- YouTubeに次いで2番目に引用されたドメイン
この結果は、LinkedInがAI検索での可視性確保に一定の成功を収めていることを示唆しています。
SEO担当者が押さえておきたい視点
LinkedInの発表内容から、SEO担当者が注目すべき点を整理します。
順位とクリックの関係が完全に分離
従来のSEOでは「順位が維持されていればトラフィックも維持される」という前提がありました。しかしAI Overviewsの登場により、この前提は崩れつつあります。
LinkedInのケースでは、順位は安定していたにもかかわらず、クリック率が低下してトラフィックが減少しました。これは、ユーザーがAI Overviews内で情報を得て完結し、サイトをクリックしない行動パターンが増えていることを示しています。
「見られること」と「クリックされること」の分離
LinkedInが提唱する新しいフレームワーク「見られる、言及される、検討される、選ばれる」は、可視性とトラフィックを分離して考える考え方です。
AI Overviewsに引用されることで「見られる」「言及される」は達成できますが、それが直接的なクリックにつながるとは限りません。一方で、認知度の蓄積という間接的な効果は期待できる可能性があります。
LinkedInが推奨する対策は「基本に忠実」
LinkedInが公開したコンテンツレベルのガイダンスは、以下の通りです。
- 強力な見出しと明確な情報階層の使用
- セマンティック構造とコンテンツアクセシビリティの改善
- 専門家による信頼性の高い新鮮なコンテンツの公開
- 早期対応者が優位性を得るため迅速に動く
Search Engine Landの記事では、これらは「技術的SEOとコンテンツ品質の基本」であり、新しい戦術ではないと指摘しています。つまり、AI検索時代でも、従来のSEO基本原則は依然として有効ということです。
測定の課題「ダークファンネル」
LinkedInが指摘する最大の課題は、「ダークファンネル」と呼ばれる測定の問題です。
AI応答での可視性がビジネス成果にどう影響するかを定量化できない、特にクリックを伴わない発見がどう作用するかが不明という状況です。
LinkedInのB2Bマーケティングサイトでは、LLM駆動のトラフィックが3桁成長し、そこからのコンバージョンを追跡できているとしています。ただし、これは全体のトラフィックに対してまだ1%以下の規模です。
SEOタイムズ編集部の見解
SEOタイムズ編集部でも、LinkedInの公式記事とSearch Engine Landの分析記事を確認しました。以下の点に注目しています。
具体的なデータが不足している
LinkedInの発表では、以下の詳細が明らかにされていません。
- 「最大60%減少」の対象となった具体的なトピック
- クリック率が「低下した」具体的な数値
- サンプルサイズと期間
- どのようなテストを実施し、引用シェアがどの程度向上したか
これらの情報が不足しているため、自社サイトへの適用可能性を判断するのは難しい状況です。
LinkedInの優位性は一般化できない
LinkedInはSemrushのデータでYouTubeに次ぐ2番目の引用ドメインとなっていますが、これはLinkedInというプラットフォームの特性(専門家の投稿、ビジネス情報の集積)によるものと考えられます。
一般的なWebサイトがLinkedInと同じ対策を取っても、同様の結果が得られるとは限りません。
それでも「基本的なSEO」は有効
LinkedInが推奨する対策は、技術的SEOとコンテンツ品質の基本です。これらは従来から重要とされてきた施策であり、AI検索時代でも引き続き有効であることが示唆されています。
構造化データの実装、明確な情報階層、専門性の高いコンテンツといった基本を着実に実施することが、現時点での最善策と言えます。
提供された情報の限界
Search Engine Landの記事でも指摘されていますが、LinkedInの発表は興味深い内容である一方、具体性に欠けています。
「最大60%減少」という数字はインパクトがありますが、どのような条件下での減少なのか、業界全体と比較してどうなのかといった詳細が不明です。
また、「初期テストで意味のある向上」という表現も抽象的で、具体的にどの程度の改善があったのかは明らかにされていません。
今後の展開
LinkedInは今後もAI検索への対応を続けるとしています。特に、自社コンテンツの最適化とソーシャルコンテンツの活用に注力する方針です。
SEO担当者としては、LinkedInの取り組みを参考にしつつ、自社サイトの状況を継続的にモニタリングすることが重要です。特に、AI Overviewsでの引用状況やクリック率の変化に注目する必要があります。












